ポルシェ、ケイマン、ブラックに標準研磨とグロスアーマーをご用命いただきました。
標準研磨とグロスアーマーに加えて、ガラスのウロコが酷くガラス研磨と撥水加工も追加でご用命いただきました。
まずは現状確認から
コーティングご用命でお預かりする際には、まず現状の確認をいたします。
ご自分の愛車であっても、なかなか細かい部分まで確認が難しいですので、気付かないうちに傷や飛び石での塗装割れが発生している可能性があります。
ですので、お預かり時の現状を確認することで、お預けされる際の安心にもつながりますし、完成までにどのような対処が必要かがわかります。
太陽光の下で見ると、すぐに研磨痕や洗車傷が確認できます。今回の塗装色はソリッドブラックですので、例えば乾いたタオルで擦っただけでも細かい洗車傷のような傷がたくさん付くような繊細な色になります。
また、ケイマンはリアにエンジンが搭載されているので、エンジンの吸気口がドアの横にあります。ここは綺麗にしていないと汚れが溜まりやすく、またよごれを落とす洗車をしないとどんどん綺麗ではなくなっていく部分です。
ですので、このような部分を確認するとこれまでどのように洗車やメンテナンスが行われてきたかおおよそ把握することができます。
ブースに入れてライトをつけて確認すると、汚れやシミや傷が多く付いていることが確認できます。
特にルーフやリアガラス、リアフェンダーやフロントフェンダーなど上面には強めのシミがあることがわかります。
その中でもリアガラスは何重にもウロコが積み重なっているように見えます。これは洗車機の撥水コースを何度も利用し、シミとウロコがミルフィーユ状になっている状態です。
撥水剤はその効果を最大限に発揮させるため、ボディーやガラス面に取りつき強力に固着して撥水します。その副作用としてシミやウロコ状の固形物となり、表面に除去できない状態で蓄積していきます。
今回これらも除去していきます。
リアのエンブレム部分にも汚れと塗布物の蓄積が確認できます。
これらは研磨できない部分ですので、酸性ケミカルを使用して細かい部分を少しずつ複数回に分けて汚れとシミを除去していくしかありません。
普段の洗車やメンテナンスの状況がこのような細かい部分に現れます。
フロントのナンバープレートベースを取り除くと、これまでの取り扱われ方を確認できます。このような細かい部分も綺麗にすることで、今後の汚れの蓄積具合も変わってきます。
洗車の後、酸性ケミカルを使用してシミを除去していきます。
洗車でしっかりと表面の汚れを除去した後、酸性ケミカルを使用してシミを除去していきます。
予想通り酸性ケミカルがすぐに反応し、シミを分解していきます。シミの積み重なりが多い場合は、何度かこの作業を繰り返してシミを除去していきます。
汚れをシミを落とすと本来の塗装面の状態が見えてくる。
汚れとシミを除去すると、ようやく研磨の為の下地作りが完了します。
本来は綺麗にしようとして洗車や塗布物を付加するはずですが、それらが傷やシミの元になっている場合が多くあります。
簡単!手間いらず!の手段にはそのようなリスクが潜んでいることを理解すると、根本的に何が必要で何を避けなければいけないかがわかってきます。
下地作りが完了して研磨の工程へ。
ガラスのウロコを研磨にて除去していきます。
専用のポリッシャーと研磨剤を使用して作業をしても一度では除去できないくらい強固に固着したウロコですので、手作業や拭くだけお手軽系のものでは歯が立たないと思います。
ここまでのウロコは視界を遮って安全性も損ないます。機械式洗車や撥水剤を使用するリスクはこのような部分にまで及ぶと考えます。
ルーフも使用環境の厳しい部分ですので、汚れが蓄積しないようしっかりと傷を除去して滑らかにしていきます。
リアフェンダーやリアハッチ、リアスポイラーも適切にマスキングを施して研磨していきます。
全体的に1度目の研磨をした後のフロントフェンダーです。まだ細かい傷が確認できます。
細かい傷を除去し、さらにここから研磨傷を消していきます。ソリッドブラックは触れるだけでも傷が目立つので、研磨の後の取り扱い方も慎重さが求められます。
研磨完了後に純水を使用して研磨剤の粉を落としていきます。
当店で使用している研磨剤は、油分を含まないものです。従って、研磨後は粉となって塗装面に付着します。純水を使用して丁寧に研磨の粉を落として、塗装面をコーティングする準備を行ないます。
ソリッドブラックはこの研磨の粉を落とす工程でも傷が付くことがありますので、取り扱いが難しい色と言われています。
綺麗な塗装面に艶の鎧を施工します。
傷やシミを徹底的に除去した後、塗装面に浸透してガラス化する特性を持つグロスアーマーを施工していきます。
ポルシェのソリッドブラック塗装面は国産車のソリッドブラックや軽自動車のソリッドブラックのような柔らかすぎる塗装面とは異なり、しっかりしています。柔らかすぎる塗装面はとてもデリケートで取り扱いに苦労しますが、ポルシェの塗装面はどちらかというと素直だと思いました。
これからも末永く綺麗を維持していただけたらと思います。
私は施工して終わりのコーティングではなく、お客さまの利益を一番に考え、お客さまの真の願望である「ずっと綺麗な状態で愛車に乗っていたい」を叶え、お困りごとを極限まで少なくしたいと考えています。そのために、ご自分でも可能な愛車のメンテナンスのノウハウや便利な道具をご提供していきたいと思います。
今回は数あるお店の中から当店と私を選んでいただき、大変ありがとうございました。これからもお役に立てるよう精進して参ります。